さらば世界最強のチャーハンよ

皆さんには生まれてからずっと食べ続けている特別な味はあるでしょうか。
自分にとっては「町内の中華料理屋のチャーハン」こそが生まれてからずっと食べ続けている特別な味です。
今までも数多くのお店のチャーハンを食べましたが、町内の中華料理屋に勝るチャーハンが食べられるお店はありませんでした。なので、個人的には世界最強のチャーハンだと思っています。
自分は小学生の頃から誕生日にはそこで出前を頼み、家族みんなで中華料理を食べるのが大好きでした。大人になってからは友達を誘って食べに行くこともありました。
そんなこんなで20年以上お世話になってきた中華料理屋が閉店してしまうということを知ったのはつい先日のことです。
SNSをやっているようなお店ではなく、老夫婦が経営している小さなお店のため、自分が知らぬ間に閉店していてもおかしくないところでした。
田舎の情報網に感謝しつつ、2回にわたって特別な味と最後のお別れをしてきました。いつもはそんなに混んでいるお店ではありませんが、2回とも自分と同じように閉店を惜しむお客さんでいっぱいでした。
1回目はチャーハンと同じくらい好きなあんかけ焼きそばを、2回目は世界最強のチャーハンを食べてきました。
特に2回目は本当の最後ということもあり、家族みんなでいろんなメニューを注文しました。今は亡き祖父母が注文していたものの話や、一度も注文したことのないメニューの話もしつつ、味わって食べました。
昔からお世話になっていたおかげでお店側にも顔を覚えられており、お会計の時にはお互いにこれまでのお礼を言い合ってからお店を出ました。
閉店するまでにはもう少し時間がありますが、おそらくスケジュール的にはもう行けないため、これで最後になると思います。
できることであれば閉店日にも立ち会いたいと思っていますが、残念ながらそれは叶わなさそうです。
小さい頃から食べていた好物が食べられなくってしまうのは大変心苦しいですが、これも長い人生の中では避けられないことなのだと思います。
自分で作れればそれも避けられなくもないのですが、食べただけではどんな材料で作られているのかは全く予想がつきませんでした。最後にダメ元でレシピを聞いてみればよかったかな?笑
幸いなことに自炊は嫌いではないので、休日に色々試行錯誤してみて、世界最強のチャーハンを再現してみるのも面白いかもしれません。
自分の手であの世界最強のチャーハンを作ることを決意しつつ、大人になるとこうしたお別れも増えていくことを実感した一件でした。
そして、食べ物に限らず、日々の生活で当たり前のように会っている家族や友人、聞いている音楽などにももっと感謝しようと思いました。
お別れが辛いならいっそ出会わなければよかったという気持ちもわかりますが、お別れが辛いからこそ今を大切にしようと思えるし、また再会できるまで頑張って生きていようとも思えます。
最後になりますが、20年以上世界最強のチャーハンを食べさせていただき、ありがとうございました。長い間お疲れ様でした。どうかお元気で。